ダージリンバナナの実生についてお勉強

熱帯植物・珍奇植物

ダージリンバナナ ‘レッドタイガー’(Musa sikkimensis ‘Red Tiger’)の種子を衝動的に購入したので実生栽培に挑戦したいと思います。

筆者は熱帯植物栽培歴10年以上ですが,バナナに関しては播種どころか栽培自体が未経験なのでリサーチから始めました。

ダージリンバナナ(Musa sikkimensis)は,食用向きではないいわゆる観葉バナナの中でも,インド東北部の山岳地帯・シッキム地方原産で,バショウに次ぐ圧倒的な耐寒性を誇り,本州でも屋外越冬可能な種だそうです。(国内で越冬可能な北限についてはわかりません)

この中でもレッドタイガーという品種は,その名の通り葉に虎柄のような赤い斑(ストライプ)が入るのが特徴。エキゾチックな雰囲気を楽しめるため,海外でもガーデナーやコレクターに愛好されているとのことです。そのかっこよさに一目惚れで購入しました。

しかし,筆者を含む多くの園芸ファンが気にするのは,「実生(種から育てた場合)でも赤い斑が出るのか?」という点です。ここでは,海外サイトを参照して,世界の園芸家の経験談をもとに斑入り発現の傾向を整理し,さらにダージリンバナナ(Musa sikkimensis)の播種方法を詳しくまとめました。


実生でも斑入りは出るのか ― その確率と傾向

斑の発現は個体差が大きい

筆者の調査によれば,実生苗でも赤い斑が出ることはあるが,確実ではない。同じ親株から採れた種子を播いても,斑の濃さや模様の出方は株ごとに異なり,全く模様が出ない緑一色の個体も少なくない。海外のフォーラムでも「10株育てても綺麗に斑が入るのは数株だけ」「模様の強さは葉ごとに変わる」といった声が多く見られました。

筆者としては,斑は遺伝しないと思っていたので,逆に意外と多く斑入りができるのだなと感心しました。原種でも赤みがあるので,そもそもMusa sikkimensis の赤に関しては「斑」ではないと考えたほうがいいのかもしれません。

また,組織培養で増やされたクローン苗ですら葉の模様にばらつきがあることから,斑の出方は遺伝的要因だけでなく環境要因にも左右されると考えられています。

日照条件の影響

特に日照条件が葉の赤斑発現に大きな影響を及ぼすとありました。日光がよく当たる場所では新葉に赤いストライプが出やすく,逆に日陰では斑がほとんど出ない傾向。これは赤い色素(アントシアニン)が強光から葉を守るためであり,光量不足では合成されにくいからとのことです。

日光については斑入り一般的に同様かと思います。

成長とともに消える模様

赤斑は若い葉にだけ強く出て,葉が成長すると緑に覆われて消える。この性質は原種 M. sikkimensis にも共通し,観賞できる模様は若葉のうちだけで,成株になると斑はほとんど残らないとの記載もありました。

成長スピードと模様の関係

一部「生長が速い株ほど緑が強く,斑が薄くなりやすい」という意見もありました。逆に,ゆっくり成長する株の方が斑が長く残る可能性があります。生育が悪い株を間引くのはやめた方がいいでしょう。ただし,この傾向は必ずしも全ての株に当てはまるわけではないそうで,環境要因との組み合わせが影響しているようです。

実生の斑入り発現まとめ

リサーチを踏まえた筆者の結論として,実生から育てた場合でも赤い斑入りは十分に期待でき,複数の種子を播いて選抜することで期待以上の株を得られる可能性があると思います。ただし,発芽率の低さを考えると大量の種子が必要だと思います。10個程度であれば試しても無駄だと思いました。


ダージリンバナナの播種方法 ― 詳細マニュアル

次に,筆者が調査した ダージリンバナナ(Musa sikkimensis)の発芽率の高い播種方法を紹介します。おそらく他のバナナの播種も同様か類似の方法だと思います。

1. 種子の下処理

  • 洗浄と消毒:(果肉残渣を水洗いし)必要なら10%希釈の漂白液(おそらくキッチンハイターのような塩素系漂白剤)に15分浸けてカビ防止。
  • スカリファイ:種皮が硬いため,サンドペーパーやヤスリで表面を軽く削り,内部が少し見える程度にする。
  • 浸水:傷を付けた種子を24〜48時間ぬるま湯に浸け,吸水させる。水は適宜交換する。

2. 播種用土と容器

  • 用土:培養土と川砂またはパーライトを1:1で混合し,清潔で水はけ良好な状態を作る。
  • 播き方:種の2/3を埋める程度に置き,軽く覆土する。
  • 容器:小鉢やトレーに播き,透明の蓋やラップで覆い,高湿度を維持する。

3. 温度と環境

  • 温度:25〜30℃が理想であり,最低でも20℃以上を確保する。
  • :発芽には必須ではないが,明るい半日陰が望ましい。直射日光は避ける。
  • 湿度:常に湿った状態を保ち,過湿を避ける。数日に一度換気してカビを防ぐ。

4. 発芽までの期間

  • 発芽は不規則で,早ければ3〜4週間,通常は1〜3か月,長ければ半年以上かかる。
  • 同じロットでも発芽はばらばらであるため,最低半年は播種床を維持する必要がある。

5. 発芽後の管理

  • 発芽したらすぐに個別ポットに移植する。根を傷つけないよう土ごと移すのが望ましい。
  • 双葉が展開したら薄い液肥を開始し,夜間は15℃以上を保つ。

6. 発芽率向上の工夫

  • 種子の鮮度:新鮮なほど発芽しやすい。
  • 交互温度処理:昼30℃,夜20℃の温度差を与えると発芽が促される場合がある。
  • カビ対策:清潔な用土を使用し,必要に応じて殺菌剤を少量利用する。

実際には,100粒中10粒前後の発芽が標準的であり,工夫を加えることで20〜30%まで上がることも。


まとめ

長期戦覚悟でカビ対策や清潔な用土の用意が必要。

発芽率が低い+実生では模様の個体差が大きい=大量の播種が必要。

満足できる株を得るには,種子は100粒以上で撒くのが理想でしょう。


参考文献

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